昔から世界各地に、さまざまな籠があり、伝統的な技法がある。それらの籠は、あるいは食器として、またあるいは収納や運搬の用具として用いられてきた。
日本でも、竹を始めとする各種の材料で編んだ籠が各地にある。それは昔から、土地土地に自生している植物を使い、素材の持ち味を生かした技法で、職人たちが作ってきたものである。
しかし、たとえば雑穀をふるう箕が、今では暮らしの中で用いられることはなく、飾るものになったごとく、現代の生活に合う用具は、昔とは変わってしまった。
だから深井さんは、使い勝手のよく美しい、しかも今の暮らしにふさわしい籠を編もうと思った。
しかし、東京に住んでいれば、まず材料の確保が難しい。この作品を編んだあけびも、自生地からとりよせたものである。手に入れば、長く延びた分枝の汚れをとり、編める状態に整えなければならない。
それでもあけびは、手間をかける甲斐がある素材なのである。自然の恵みを受けて茶色に色づいたあけびは、色あせることもなく、使えば使うほど魅力を増していく。太いものは直径1.5cmにもなる蔓は編みやすく、編み組特有の柔らかい形を生み出す。
その蔓を、太いものは太さを生かし、細いものは繊細さを生かして籠に編む。昔ながらの買い物籠に似たものもあれば、オブジェのように飾りたい籠もある。生活用品としての籠を編みながら、併行してオブジェも発表しているせいか、あけびの個性とともに深井さんの個性がにじみ出ている。
生活用品には自分の主張や付加価値をつけない、とする深井さんだが、理想の籠作りへの挑戦は、これからも続いていく。





