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日本クラフト&デザイン文化を支える作家たち

新島を「ガラスの島」にした抗火石。 その特産の火山岩で作るガラス作品は、 オリーブ色で物語性のあるデザイン。

ガラス/東京都新島新島村

野田 収

Osamu Noda

 かつて島ブームが興ったときには、ここ新島もにぎわった。しかし、そのブームが去ったとき、島民たちは考えざるをえなかった。この島には、何もない。再び観光客に訪れてもらうには、どうすればいいのか?

 そこで再発見したのが、抗火石である。新島の火山活動でできたこの石は、世界でも珍しい火山岩で、溶かすと透きとおったオリーブ色を呈する。ガラスの原料となる硅酸が78%も含まれ、その鉄分によって豊かな色を作り出すのだ。

 この抗火石でガラスを作り、新島を「ガラスの島」にしよう。ということで、ガラス協会やアートセンターを作り、体験教室、ワークショップ、アートフェスティバルを催すようになる。観光客誘致のためでもあるが、まず、島民たちが作る過程を経験して理解し認知することを目的としている。自分たちがガラスの魅力を享受しないで誘致などできない、ということである。

 それから18年、とりわけ子どもたちは、定期的に教室に参加し、その魅力のとりことなっている。

 野田さんも、この島で生まれ育ち、ガラスに携わってきた。作品は、実に多彩なガラスの技術を駆使して、つぶす形、突く形などをシリーズにする。人間の行為が形に残るガラスの特性のおもしろさを作り続けたいからだ。機能性が少し損なわれても、つぶした部分つまり閉じ込められた空間を作ることによって、物語性を加味しているのである。

 自宅の玄関の扉にはガラスのタイルが嵌め込まれているという。表札もガラス製。まず自分が、器だけでない使い方を楽しんでいるわけである。島では、エクステリアのサインボードもガラス製。いつか新島の家々の窓ガラスをすべて抗火石のガラスにしたい、というのが、野田さんの夢である。

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