ワンルームマンションに住むひとり暮らしの若い女性は、仕事から帰るとこの照明器具をいじり、光をつけて遊ぶ。それだけで心が癒されるという。林さんの「木のあかり」である。
それは、たくさんの秘密があるからだ。まず、日本の木工技術として最高峰とされる組子によるデザイン。次に、その細かい木を組んだ目が、明かりをつけることにより表わすモアレ。また、直角の壁の隅に置いたときに壁に、また床面にも浮かび上がる、星や流線や格子などの光と影。さらには、素材の青森ひばから明かりの温度で温まることによって漂い出すひのきチオールの香り。こんな照明は、まず他にはない。
高岡87クラフト展でグランプリを受賞し、グッドデザイン商品にも選定された『ビルディング』をはじめ、『アイ』『スパイア』など、いずれもシャープなデザインの照明で、組子という日本の伝統技術を生かしているにもかかわらず、洋の空間で楽しんでほしいと林さんはいう。和の空間にも和風モダンの空間にも似合うのはもちろんだけれど。
ただ部屋を明るくするだけでなく、空間を楽しむオブジェとしても、この照明はすばらしい。
明かりなくして、現代の夜は過ごせない。太陽が沈んだら寝てしまうという大昔とは違う。それなのに、納得がいく照明器具にはなかなか出会えないものだ。とくに、明るい昼間、部屋の中に置くだけで楽しいものは少ない。林さんの「木のあかり」は、まさに置くだけでも、いじって遊ぶだけでも楽しめるものであった。





